「結婚したら、名字はどうなる?」日本では身近な話題ですが、韓国では、結婚しても夫も妻もそれぞれの名字を使い続けるのが普通です。新婚生活が始まっても、名字は通常営業。
ただし、ここで「じゃあ、子どもは?」という次の疑問が出てきますよね。子どもの姓は原則として父の姓。母の姓を継ぐ仕組みもありますが、まだごくまれなケースです。夫婦の名前と、子どもの名前。ひとつずつ見ていくと、韓国の家族の日常がちょっと違って見えてきます。

キムさんとパクさん、結婚してもそのまま
たとえば、キム・ジウンさんとパク・ミンジュンさんが結婚したとします。これは説明のための架空のふたり。韓国では、妻はキム・ジウンさん、夫はパク・ミンジュンさんのままです。妻がパク・ジウンさんになる、という変化はありません。
仕事で昔の名字を使っている、という話でもありません。公的な名前そのものが変わらないんです。違う名字のまま婚姻届を出して、法律上の夫婦になります。
結婚してからも、私は以前と同じ名前で呼ばれていました。昔の知り合いから届くメッセージも、仕事で使う名前もそのまま。暮らしは変わったのに、自分の名前はいつもの場所にある。その変わらなさに、思っていた以上に安心したんです。誰かと家族になることと、自分の名前を大切にすることが、自然に両立するところが好きです。

韓国では「変えない」が、特別な選択ではない
日本で「結婚後も別姓」と聞くと、ふたりで話し合って選んだスタイルを想像するかもしれません。韓国では、結婚してもそれぞれの姓を保つことが、最初からごく自然な前提になっています。
「名前を変えずに結婚したい」と特別な理由を説明する必要も、名字を合わせないことを夫婦の距離感として受け取る必要もありません。名前が違う夫婦は、日常にいる普通の夫婦です。
だから、名前だけでは既婚かどうかも分かりません。キムさんが昨日までキムさんで、今日もキムさん。それだけでは、結婚しているかどうかの手がかりにならないんですね。「結婚すると名字が変わる」という日本の見慣れた流れを外してみると、同じ結婚でも、見えている景色が違って面白いです。
日本の夫婦同姓と、どこが違う?
2026年10月時点、日本人同士が法律上の結婚をするときは、夫か妻のどちらかの氏を、夫婦共通の氏として使います。法律では、夫の氏にしなければならない、とは決められていません。妻の氏にすることもできます。
日本のルールは「夫婦でひとつの名字を使う」。韓国では「それぞれの名字を使い続ける」。この違いが、結婚するときの名前の扱いを大きく変えています。日本の制度は法務省の案内でも確認できます。
日本で仕事上、旧姓を使い続けることと、法律上も結婚前の名前のままでいることは、同じではありません。韓国では、結婚で名字が変わらないので、改姓を理由に名刺や身分証の名前を切り替える場面も生じません。もちろん、住所など別の変更があれば、その手続きは必要です。
子どもは誰の姓?原則は父、母の姓にも道がある
夫婦が別々の名字なら、子どもはどちらを名乗るのでしょう。韓国人同士の夫婦について、まず押さえたいのはこのふたつです。
- 原則は、父の姓を継ぐ。
- 両親が婚姻の届出のときに合意すれば、母の姓を継ぐ。
さっきのふたりなら、父はパク、母はキム。原則どおりなら、子どもはパクになります。一方、婚姻の届出のときに母の姓を継ぐと合意していれば、子どもはキムになります。
ただ、韓国人同士の夫婦が子どもに母の姓を継がせるケースは、現実にはまだごくまれです。今も、父の姓を継ぐのが圧倒的に一般的。夫婦がそれぞれの名字を使うことと、子どもが母の姓を継ぐことでは、韓国での「普通」の度合いがずいぶん違うんですね。

ポイントは「子どもが生まれたときに、どちらでも自由に選ぶ」ではなく、母の姓を継ぐ合意をするタイミングが婚姻の届出時だということ。韓国民法では、姓とあわせて、家系の出身地を示す「本貫(ほんかん)」も継ぐと定められています。
あとから子どもの姓を変える場合は、子どものために変更する必要があるときに、裁判所の許可を受ける仕組みがあります。「やっぱりこっちにしよう」で、簡単に変更できるわけではないんです。
夫婦別姓が普通でも、子どもの姓は父が原則。ここは別のルールとして考えると分かりやすいですね。自分の名前は変わらないのに、子どもの名前の話になると父の姓が先に浮かぶ。その違いを知ったとき、私は少し引っかかりました。母の姓を選ぶ仕組みがあることや、合意する時期について、結婚の準備中から分かりやすく案内されるといいなと思います。
お母さんと子どもの名字が違っても、普通の家族
父がパク、母がキム、子どもがパク。父の姓を継いだら、母と子の名字は違います。でも、これは韓国のルールから自然に生まれる組み合わせ。「名字が違うから、再婚なのかな?」と想像する必要はありません。
逆に、子どもが母の姓を継いでも、父の姓が変わるわけではありません。誰と名字がそろっているかだけでは、その家族の関係や、一緒に暮らしてきた時間は分からないんです。
私はここに、ちょっとほっとします。家族らしさって、同じ名前を名乗ること以外にも、毎日の中にちゃんとあるから。体調が悪い日に気にかけてくれるとか、好きなおかずを覚えてくれているとか。そういう小さなことの積み重ねにも、家族の温度を感じます。
名字はそのまま、暮らしはふたり分になる
韓国では、結婚しても自分の名前でい続ける。それは、家族になることと、名前を変えることがセットではないという、ごく身近な日常です。
わが家では、名字が別々でも、一緒に暮らす中で小さなルールが増えていきました。冷蔵庫の最後のプリンを食べる前には、ひと声かける。疲れた日は、食事の準備を一人に任せない。名字をそろえることより、こういう約束のほうが、私には家族になっていく実感がありました。名前はそれぞれのままでも、暮らしはちゃんとふたり分になっていくんですね。
日本の夫婦同姓を見慣れているからこそ、韓国の「名前はそのまま」が新鮮に映る。名字を入口にして、家族になるってどういうことだろう、と少し考えてみる。私はそんな日韓比較が好きです。
名前と家族の、かんたん韓国語
- 성(ソン)=姓・名字
- 이름(イルム)=名前
- 결혼(キョロン)=結婚
- 부부(プブ)=夫婦
- 가족(カジョク)=家族