日本のタクシーに乗って、いちばん印象に残ったのは「そこまでしてくれるんだ」という気持ちでした。ドアを開けてもらい、重いキャリーケースをトランクに載せてもらう。目的地に着けば、またドアが開く。着くまで運んでもらうだけだと思っていたら、乗り降りまで気にかけてもらえたんです。
日本のタクシーの自動ドアは、運転手さんが車内から操作する仕組み。日本の皆さんにはおなじみですよね。でも、韓国でタクシーに乗ってきた私には、この「いつものこと」がちょっと特別でした。

ドアの前で、いつもの手順が変わる
韓国の一般的なタクシーでは、自分でドアを開けて乗り、自分で閉めます。私も、それが普通だと思っていました。タクシーにお願いするのは、目的地まで安全に連れていってもらうこと。ドアの開け閉めは、その前後に自分でやることでした。
ところが日本では、主に左側の後部ドアを運転手さんが開けてくれます。乗るときも、降りるときも、こちらは開くのを待てばいい。韓国での感覚だと、つい手を伸ばしたくなるところです。あ、もう開いてる。ドアを開ける私の手、本日は休業です。
日本の左後部の自動ドアは、運転手さんに任せるのが基本。開いたのを確認してから乗り降りします。反対に、韓国の普通のタクシーでは、周囲を確かめて自分でドアを開ければ大丈夫です。車両やサービスによって違うときは、運転手さんの案内に合わせてくださいね。

自動ドアより、うれしかったこと
でも、ドア以上にうれしかったのは、重いキャリーケースをトランクに載せてもらったこと。荷物を持って車に乗るときって、手が足りなくなりませんか。そのひと手間を助けてもらえるだけで、ずいぶんほっとしました。
私は、丁寧なあいさつも好きだけれど、手が足りないときに助けてもらえると、もっと心に残ります。荷物の重さも、持ち上げる手間も、ちゃんと気にかけてくれる感じがうれしい。旅行中にまで、毎回ちょっとした筋トレはしたくないですしね。
韓国では「運転してもらう」。日本では「乗るときから降りるときまで、サービスを受ける」。あの日の感覚を言葉にするなら、こんな違いでした。
日本のタクシー料金は、私には韓国より高く感じられました。それでも、あの日は「乗ってよかった」と思えたんです。目的地に着けたことに加えて、重い荷物を抱えた自分まで気にかけてもらえたから。安く済むのもうれしいけれど、こういうときの「助かった」は、私にはけっこう大きいです。

日本のタクシーはなぜ自動ドア?始まりは1959年
このドア、いつからあるのでしょう。トーシンテックの沿革をたどると、前身の東進エアードアが1959年にタクシー用オートドアの生産を始めています。その後、1964年の東京オリンピックをきっかけに、全国のタクシー会社へ広がりました。オリンピックの年に発明された、というわけではないんですね。
ただ、「自動」といっても、お店の入り口のように人を感知して開くドアではありません。レバーやスイッチを使って、運転手さんが開け閉めしています。
メーカーの製品案内にも、運転席からハンドル操作で開閉するレバー式や、スイッチで操作する方式が載っています。「自動で開く」と見えていたドアも、その向こうには運転手さんの操作がある。そう知ると、私は次に乗るとき、ドアが開く瞬間にもちょっと「ありがとう」と思いそうです。

うれしいだけじゃない。自動ドアの役割
乗客がドアを操作しなくていいのは、荷物が多いときや子ども連れのときに助かります。運転手さんも、通常の開閉なら席を離れる必要がありません。乗り降りをスムーズに進めやすいのは、どちらにとっても便利ですよね。
| 役割 | 助かること |
|---|---|
| 安全への配慮 | 運転手が周囲や乗客の様子を確認しながら開閉できる |
| 便利さ | 荷物が多いときや子ども連れでも、ドアを操作する手間が減る |
| 仕事の効率 | 通常の開閉なら、運転手が降りてドアを操作する必要がない |
| サービスの実感 | 走っている時間だけでなく、乗り降りにも配慮を感じられる |
安全面では、周囲や乗客の様子を確認しながら開閉できる点が大切です。ただ、自動ドアなら必ず安全、あるいは韓国よりドアを開けたときの事故が少ない、とまでは言えません。今回確認した資料では、その差を示す日韓の比較統計は見つかりませんでした。事故を防ぐための配慮ができる仕組み、と捉えたいところです。
キャリーケースの手助けも、接客のひとつ
あの手助けは、たまたま親切な運転手さんだったから? そう思って調べると、荷物を手伝うことは、運転手さんの学習教材にも載っていました。
全国ハイヤー・タクシー連合会の外国人向け運転者学習テキストの190ページには、ゴルフバッグやスーツケースなどの荷物をトランクに入れるのを手伝うよう書かれています。荷物を運ぶのに苦労している乗客を、見過ごさないように、という案内も。ここでいう190ページは、冊子に印刷されたページ番号です。
同じ教材の174ページには、車が停まったときからサービスは始まる、という説明もありました。走りだしてからではなく、停まったときから。私がドアの前で感じたうれしさって、こういうことだったんだな、と腑に落ちました。
もちろん、この記述だけで、すべての運転手さんがどんな荷物でも必ず運ぶ法的義務がある、とは言えません。分かるのは、荷物の手助けも、教育の中で勧められている接客だということです。
あの運転手さんの気づかいも、そんな接客の考え方とつながっていたのかもしれません。私は、車の豪華さより、困っているところをそっと手伝ってもらえるほうがうれしいです。重い荷物を持っている日なら、この安心感もタクシーを選ぶ理由になります。
韓国でタクシーに乗るなら、こんな短い言葉も。最後の「감사합니다」は、手伝ってもらったときのお礼にも使えます。
택시(テクシ)=タクシー
짐(チム)=荷物
감사합니다(カムサハムニダ)=ありがとうございます
日本の「いつものこと」が、私には特別だった
韓国にも荷物を親切に載せてくれる運転手さんはいますし、日本でも毎回同じ接客とは限りません。だから「日本のほうが上」と言いたいわけではないんです。私には、タクシーでうれしいと感じる場面が、乗る前と降りるときにも増えた。その違いが印象に残りました。
安全に目的地へ着けたら、それで十分だと思っていた私。でも、ドアを開けてもらい、キャリーケースを載せてもらって、乗り降りの気づかいまで心に残りました。派手なサービスではないけれど、私はこういう小さな親切に弱いです。
あの日、料金をもったいないと思わなかったのは、移動だけでなく、その気づかいにも満足していたからだと思います。日本の皆さんにはいつものことでも、韓国から来た私には、誰かに話したくなるくらいうれしかったんです。
日本の皆さんは、タクシーの自動ドアを当たり前だと感じていますか?それとも、特別なサービスだと思いますか? いつものタクシーで、ちょっとうれしくなる瞬間があれば、コメントで聞かせてください。