日本のタクシーはなぜ自動ドア?韓国人が感じた「サービス」の違い

夜の渋谷の交差点を走る黒い日本のタクシー

日本のタクシーに乗って、いちばん印象に残ったのは「そこまでしてくれるんだ」という気持ちでした。ドアを開けてもらい、重いキャリーケースをトランクに載せてもらう。目的地に着けば、またドアが開く。着くまで運んでもらうだけだと思っていたら、乗り降りまで気にかけてもらえたんです。

日本のタクシーの自動ドアは、運転手さんが車内から操作する仕組み。日本の皆さんにはおなじみですよね。でも、韓国でタクシーに乗ってきた私には、この「いつものこと」がちょっと特別でした。

夜の渋谷の交差点を走る黒い日本のタクシー
渋谷を走るタクシー。2025年12月撮影。写真:David Kernan/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、この画像と変換版に適用)。サイズ調整・WebP変換。

ドアの前で、いつもの手順が変わる

韓国の一般的なタクシーでは、自分でドアを開けて乗り、自分で閉めます。私も、それが普通だと思っていました。タクシーにお願いするのは、目的地まで安全に連れていってもらうこと。ドアの開け閉めは、その前後に自分でやることでした。

ところが日本では、主に左側の後部ドアを運転手さんが開けてくれます。乗るときも、降りるときも、こちらは開くのを待てばいい。韓国での感覚だと、つい手を伸ばしたくなるところです。あ、もう開いてる。ドアを開ける私の手、本日は休業です。

日本の左後部の自動ドアは、運転手さんに任せるのが基本。開いたのを確認してから乗り降りします。反対に、韓国の普通のタクシーでは、周囲を確かめて自分でドアを開ければ大丈夫です。車両やサービスによって違うときは、運転手さんの案内に合わせてくださいね。

ソウルの街を走るオレンジ色のセダン型タクシー
ソウルのタクシー。写真:Joshua T. Garcia/Wikimedia Commons(CC0 1.0)。サイズ調整・WebP変換。

自動ドアより、うれしかったこと

でも、ドア以上にうれしかったのは、重いキャリーケースをトランクに載せてもらったこと。荷物を持って車に乗るときって、手が足りなくなりませんか。そのひと手間を助けてもらえるだけで、ずいぶんほっとしました。

私は、丁寧なあいさつも好きだけれど、手が足りないときに助けてもらえると、もっと心に残ります。荷物の重さも、持ち上げる手間も、ちゃんと気にかけてくれる感じがうれしい。旅行中にまで、毎回ちょっとした筋トレはしたくないですしね。

韓国では「運転してもらう」。日本では「乗るときから降りるときまで、サービスを受ける」。あの日の感覚を言葉にするなら、こんな違いでした。

日本のタクシー料金は、私には韓国より高く感じられました。それでも、あの日は「乗ってよかった」と思えたんです。目的地に着けたことに加えて、重い荷物を抱えた自分まで気にかけてもらえたから。安く済むのもうれしいけれど、こういうときの「助かった」は、私にはけっこう大きいです。

開いたタクシーのトランクにキャリーケースを載せる運転手と、そばで見守る黒髪の女性

日本のタクシーはなぜ自動ドア?始まりは1959年

このドア、いつからあるのでしょう。トーシンテックの沿革をたどると、前身の東進エアードアが1959年にタクシー用オートドアの生産を始めています。その後、1964年の東京オリンピックをきっかけに、全国のタクシー会社へ広がりました。オリンピックの年に発明された、というわけではないんですね。

ただ、「自動」といっても、お店の入り口のように人を感知して開くドアではありません。レバーやスイッチを使って、運転手さんが開け閉めしています。

メーカーの製品案内にも、運転席からハンドル操作で開閉するレバー式や、スイッチで操作する方式が載っています。「自動で開く」と見えていたドアも、その向こうには運転手さんの操作がある。そう知ると、私は次に乗るとき、ドアが開く瞬間にもちょっと「ありがとう」と思いそうです。

日本のタクシーの運転席付近にある、赤いノブ付きの左後部ドア開閉レバー
左後部ドアを開閉するレバーの一例。写真:VVVN/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)。サイズ調整・WebP変換。

うれしいだけじゃない。自動ドアの役割

乗客がドアを操作しなくていいのは、荷物が多いときや子ども連れのときに助かります。運転手さんも、通常の開閉なら席を離れる必要がありません。乗り降りをスムーズに進めやすいのは、どちらにとっても便利ですよね。

役割助かること
安全への配慮運転手が周囲や乗客の様子を確認しながら開閉できる
便利さ荷物が多いときや子ども連れでも、ドアを操作する手間が減る
仕事の効率通常の開閉なら、運転手が降りてドアを操作する必要がない
サービスの実感走っている時間だけでなく、乗り降りにも配慮を感じられる

安全面では、周囲や乗客の様子を確認しながら開閉できる点が大切です。ただ、自動ドアなら必ず安全、あるいは韓国よりドアを開けたときの事故が少ない、とまでは言えません。今回確認した資料では、その差を示す日韓の比較統計は見つかりませんでした。事故を防ぐための配慮ができる仕組み、と捉えたいところです。

キャリーケースの手助けも、接客のひとつ

あの手助けは、たまたま親切な運転手さんだったから? そう思って調べると、荷物を手伝うことは、運転手さんの学習教材にも載っていました。

全国ハイヤー・タクシー連合会の外国人向け運転者学習テキストの190ページには、ゴルフバッグやスーツケースなどの荷物をトランクに入れるのを手伝うよう書かれています。荷物を運ぶのに苦労している乗客を、見過ごさないように、という案内も。ここでいう190ページは、冊子に印刷されたページ番号です。

同じ教材の174ページには、車が停まったときからサービスは始まる、という説明もありました。走りだしてからではなく、停まったときから。私がドアの前で感じたうれしさって、こういうことだったんだな、と腑に落ちました。

もちろん、この記述だけで、すべての運転手さんがどんな荷物でも必ず運ぶ法的義務がある、とは言えません。分かるのは、荷物の手助けも、教育の中で勧められている接客だということです。

あの運転手さんの気づかいも、そんな接客の考え方とつながっていたのかもしれません。私は、車の豪華さより、困っているところをそっと手伝ってもらえるほうがうれしいです。重い荷物を持っている日なら、この安心感もタクシーを選ぶ理由になります。

韓国でタクシーに乗るなら、こんな短い言葉も。最後の「감사합니다」は、手伝ってもらったときのお礼にも使えます。

택시(テクシ)=タクシー

짐(チム)=荷物

감사합니다(カムサハムニダ)=ありがとうございます

日本の「いつものこと」が、私には特別だった

韓国にも荷物を親切に載せてくれる運転手さんはいますし、日本でも毎回同じ接客とは限りません。だから「日本のほうが上」と言いたいわけではないんです。私には、タクシーでうれしいと感じる場面が、乗る前と降りるときにも増えた。その違いが印象に残りました。

安全に目的地へ着けたら、それで十分だと思っていた私。でも、ドアを開けてもらい、キャリーケースを載せてもらって、乗り降りの気づかいまで心に残りました。派手なサービスではないけれど、私はこういう小さな親切に弱いです。

あの日、料金をもったいないと思わなかったのは、移動だけでなく、その気づかいにも満足していたからだと思います。日本の皆さんにはいつものことでも、韓国から来た私には、誰かに話したくなるくらいうれしかったんです。

日本の皆さんは、タクシーの自動ドアを当たり前だと感じていますか?それとも、特別なサービスだと思いますか? いつものタクシーで、ちょっとうれしくなる瞬間があれば、コメントで聞かせてください。

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