日本でお店を探すとき、まずGoogleマップを開く人は多いですよね。ところが韓国では、NAVERマップやカカオマップが身近な存在。「世界中で使えるGoogleマップなのに、韓国では何が違うの?」と不思議に思いませんか。
理由は、地図データを海外で扱うためのルールと、韓国の暮らしに合わせて育った地図アプリの便利さ。2026年にはデータの国外持ち出しに条件付きの許可が出ましたが、許可と、すべての機能が使えるようになることは別の話です。まずは、旅行中に戸惑いやすいところから見てみましょう。
Googleマップが、まったく使えないわけではありません
韓国でも、Googleマップで場所を探したり、口コミを読んだり、公共交通の経路を調べたりできます。困るのは、日本と同じ感覚で細かな徒歩ルートや車のナビまで任せようとしたとき。これまで、そうした機能には制約がありました。
実際に、この原稿の確認時、2026年10月16日にWeb版で「ソウル駅→明洞聖堂」の徒歩ルートを検索すると、対象圏外という案内が出ました。公共交通の候補は表示されているのに、徒歩では出ない。この一例だけでも、「地図が見える」と「歩く道を案内してもらえる」は違うと分かります。

目的地は見つかったのに、そこまでの道が出ないと、ちょっと拍子抜けしますよね。でも、この場面で自分の方向音痴まで疑わなくて大丈夫。アプリ側の提供範囲も関わっているんです。
その理由は、地図の「データを置く場所」にあった
カフェの場所を地図に表示することと、そこまで歩ける道を計算することは、必要な処理が違います。経路案内には、道がどこでつながるかなどのデータを使って、出発地から目的地までの道順を組み立てる作業が必要です。
Googleは2025年の公式説明で、韓国の地図表示にはすでに1:5,000の地図データを利用していると説明しています。今回の問題は「Googleに韓国の地図が一枚もなかった」という話ではありません。Googleの世界各地のサーバーで経路を計算するために、必要なデータを国外へ移せるかが争点でした。
韓国では、国の基本となる地図データを国外に持ち出す際に許可が必要です。軍事・保安施設など、安全保障に関わる情報をどう守るかが審査されてきました。国内で地図サービスを提供することと、そのデータを海外のサーバーでも使うことには、別の条件があるわけです。
ニュースに出てくる「1:5,000」は、地図上の1cmが実際の50mに当たる縮尺。難しい数字に見えますが、街の道路や建物の形などを表す地図の細かさだと思えば、少し身近になります。政府発表では高精度地図と呼ばれる一方、Googleは申請対象を「1:5,000の国家基本図」と説明しています。自動運転用の車線レベルの地図と、ひとまとめにしないのがポイントです。
衛星写真が見えるなら問題ないのでは、とも思いますよね。ただ、衛星画像と、道路などを扱う地図データは別の資料。Googleも、申請した国家基本図と、商業提供元から購入する衛星画像を区別しています。画面では一枚の地図に見えても、その裏側では違う情報と条件が重なっているんです。
NAVERマップは、移動の前後まで頼れる
とはいえ、韓国でNAVERマップがよく使われる理由を、Googleの制約だけで片づけるのはもったいない。韓国観光公社も、韓国でよく利用される地図サービスのひとつとして紹介しています。私が魅力を感じるのは、「どこへ行く?」と「どう行く?」を続けて考えられることです。

歩く道と、バス・地下鉄の乗り継ぎを調べる
NAVERマップでは徒歩や公共交通などの経路を検索でき、バス・地下鉄の到着情報や乗り降りの案内も確認できます。日本語の地図表示に対応しているので、韓国語に慣れていない旅行者にも選びやすいです。

私は、目的の駅が分かるだけでなく、降りたあとまで道がつながっているとほっとします。出口を間違えて遠回りするより、その分の元気を街歩きに残しておきたいので。出発前にホテルと最初の目的地を保存しておくのも、気持ちに余裕ができそうです。
お店の情報と口コミを、そのまま見比べる
営業時間や写真、訪問者の口コミなどを見ながら、お店を選べるのも便利。韓国語のテキストレビューを日本語へ翻訳する機能もあります。私は、評判のよさだけでなく、「一人でも入りやすそうか」「食べたいメニューがあるか」を見てから決めたいほうです。
写真はかわいいけれど、今は営業時間外。そんなすれ違いを減らせるのはうれしいですね。ただし臨時休業などもあるので、遠くまで行く日はお店の最新のお知らせも確認したいです。
対応するお店なら、予約まで進める
さらに、NAVER予約に対応するお店では、地図で探したあとに予約へ進めます。2026年6月には、韓国の携帯電話番号を持たない外国人向けに、パスポートによる本人確認も導入されました。すべてのお店を同じ条件で予約できるわけではありませんが、旅行者が使いやすくなる変化です。
私には、場所を決めたあと別の画面を何度も行ったり来たりせずに済むのが魅力的。地図を見ているうちにカフェが増えてしまう問題までは、まだ解決してくれませんけどね。
2026年、Googleマップにも変化の入口が
ここで大きな動きがありました。韓国政府は2026年2月27日、Googleによる1:5,000の地図データの国外持ち出しを、厳しい保安条件付きで認めると発表しました。
軍事・保安施設の画像処理や座標表示の制限に加え、韓国内の提携企業が国内サーバーでデータを加工し、政府が確認してから持ち出すことなどが条件です。経路案内に必要な情報に範囲を絞り、条件に違反すれば許可の停止・取り消しもあり得ます。詳しくは韓国政府の発表で確認できます。
これはサービス改善につながる動きですが、「許可が出た日から、日本と同じように使える」という意味ではありません。実際のデータ処理やサービスへの反映は別の段階。冒頭の徒歩検索の結果を見ても、旅行の準備は、自分が使う経路と移動手段を確かめながら進めたいです。
韓国旅行なら、私のおすすめはNAVERを主役に
日本語で旅をするなら、まずNAVERマップを。もう一つ経路を見比べたい人には、カカオマップも候補です。カカオマップも徒歩・公共交通・車の経路検索に対応していますが、App Storeの対応言語は韓国語と英語。NAVERと同じように日本語で使えるとは考えず、出発前に画面を触っておくと選びやすいと思います。

Googleマップに保存したお店や口コミも、旅の参考にできます。私は、気になる場所を見つける楽しさはそのままに、実際の移動にはNAVERを用意しておきたいです。「韓国ではGoogleが使えない」で終わらせるより、探す・選ぶ・たどり着く、それぞれを助けてくれる地図を知っておく。そうすれば、スマホを見つめる時間より、着いた先を楽しむ時間を増やせそうです。