韓国と日本の飲み会はどう違う?「会食(フェシク)」の文化と参加のヒント

焼肉と小皿料理、水のグラスが並ぶ韓国の会食テーブル

韓国ドラマで、仕事終わりのチームが焼肉店へ。上司のひと言で乾杯が始まり、そのまま二軒目へ……。「韓国の会社って、毎回こんな感じ?」と気になったことはありませんか。

韓国の職場でいう회식(フェシク/会食)は、同僚たちと食事をする集まり。日本の職場の飲み会と重なる部分が多い一方、食卓の雰囲気や呼び方には違いがあります。ただし、夜に全員でお酒を飲む形だけではありません。昼食や、食事を中心にした会もあります。

国ごとの決まりを覚えるより、「このチームはどうしている?」を知ることが近道。ドラマの名場面を、そのまま会社の参加マニュアルにしなくても大丈夫です。

焼肉と小皿料理、水のグラスが並ぶ韓国の会食テーブル

「フェシク」は、かしこまった会食だけを指さない

日本語で「会食」と聞くと、取引先との少し改まった食事を想像する人もいそうです。韓国の職場で「今日はフェシク」と言う場合は、部署やチームでごはんに行くことも含まれます。漢字は同じでも、思い浮かぶ場面に少しずれがあるのが面白いところ。

初めてチームで食事をしたとき、私は仕事の話しかできないと思っていた同僚と、好きな料理の話で盛り上がりました。翌日、声をかけるのが少し気楽になったんです。そういう距離の縮まり方は好き。一方で、初対面の人が多い席では気を遣って疲れた日もあり、参加しやすさは、その集まりの進め方でずいぶん変わると感じました。

焼肉と二次会は定番のイメージ。でも必須ではない

韓国のフェシクでよくイメージされるのが、焼肉を囲む食卓です。肉や小皿料理を前にして食事が進むので、お酒だけでなく「一緒に食べる」場面が印象に残りやすいですね。

日本でも焼肉で集まりますし、韓国でも店や料理の選択肢はさまざま。「韓国は焼肉、日本は居酒屋」と固定してしまうと、実際の集まりを見失ってしまいます。食べられないものがある場合は、お店を決める前に伝えておくと話が早そうです。

二軒目へ移るときの2차(イチャ)は、日本語の「二次会」に近い言葉。最初の集まりは1차(イルチャ)と呼びます。二次会があること自体は日韓共通ですが、行くかどうか、何をするか、何時に終えるかは集まり次第。一次会で帰る予定なら、先に伝えておきましょう。

今は「昼に食べて、夜はそれぞれ」という形も

フェシクを知るうえで外せないのが、集まり方の幅です。夜の飲み会のほか、昼に少しゆっくり食事をしたり、食事と別の活動を組み合わせたりする職場の例も紹介されています。

こうした昼の会食は점심 회식(チョムシム フェシク)。夜の予定を調整しにくい人にとっては、参加しやすい形になりそうです。もっとも、すべての会社で同じように変わったわけではなく、断りづらさが残る職場もあります。

ご飯とスープ、小皿料理を一人分ずつ用意した明るい昼食のテーブル

日本側も一枚岩ではありません。東京商工リサーチの2025年の企業調査では、忘・新年会を実施する企業としない企業が分かれています。これは特定の時期の会についての調査なので、職場の飲み会すべてがなくなった、という意味ではありません。

夜の会食に参加したとき、楽しくても、終わる時間が見えず帰りの予定が気になったことがありました。昼の食事会では、その心配が少なく、会話を楽しむ余裕があったんです。「韓国は必ず参加、日本は自由」と国だけで分けるより、開始・終了の時間や参加の自由が分かることが大切だと思います。誘う側から先に案内してもらえると、もっと気楽に参加できます。

ドラマで気になる、韓国のお酒の席のしぐさ

注ぐときも、受けるときも「もう片方の手」を添える

目上の人や初対面の相手にお酒を注ぐとき、片手で瓶を持ち、もう片方の手で瓶や手首を支える。注いでもらう側も、グラスを両手で持ったり、底に手を添えたりする。韓国のお酒の席で見かける、相手への敬意を表す伝統的なしぐさです。

日本にも両手を添えてお酌する場面はありますが、韓国ドラマでは小さなソジュのグラスを両手で受ける姿が目に留まるかもしれません。親しい同僚同士ならもっと気楽なこともあり、どの席でも同じ形を求められるわけではありません。

会食のテーブルで、上司が緑色のソジュ瓶から注ぐお酒を両手で持ったグラスに受ける女性会社員

飲む瞬間、顔を少し横に向けるのはなぜ?

年上の人や上司の前で口をつけるとき、顔を少し横に向ける姿も、年長者への配慮を示す伝統的な作法の一つです。相手を避けているわけではなく、敬意をしぐさで表しているんですね。

ただし、「韓国では必ずこう飲む」という一律のルールとして覚えなくて大丈夫。世代や関係性、職場の雰囲気で受け止め方は違います。ドラマで見かけたら、登場人物同士の距離感を読む小さなヒントにもなりそうです。

「ソメク」「爆弾酒」も、酒文化の一場面

ソメク(소맥)は、ソジュ(韓国焼酎)とメクチュ(ビール)を混ぜたお酒。二つの名前の頭を合わせた呼び方です。異なるお酒を混ぜる爆弾酒(ポクタンジュ)にはほかの組み合わせもあり、ソメクもその一種として紹介されます。

昔の会食の話や韓国ドラマで、誰かが場を盛り上げながら作る姿を見た人もいるかもしれません。こうした酒文化の一場面として知ると面白いものの、今の韓国の会食で全員が飲む定番、という意味ではありません。もちろん、飲めることが参加の条件でもありません。

作法を知ることと、お酒を飲むことは別

私は、今日は飲まないと決めた会食で、最初にソフトドリンクにすることを伝えました。言うまでは少し気を遣いましたが、飲み物を選んでからは、料理と会話へ気持ちを向けられたんです。作法を知ることと、お酒を飲むことは別。次も、飲み物や帰る予定は先に伝えて、無理なく楽しむつもりです。

韓国料理の小皿と一緒に置かれた炭酸水とアイスティー

比べて見えてくるのは「国の違い」だけではない

韓国のフェシクと日本の職場の飲み会には、食事を通じて同僚と話すという共通点があります。違いを感じやすいのは呼び方や食卓の風景。一方で、参加のしやすさを左右するのは、会社やチームの進め方、そして一人ひとりの希望です。

誘われたら、まずはメニュー、費用、終わる時間を確認。お酒や二次会についても、自分の希望を先に伝える。そんな小さなやり取りができれば、知らない文化の場も、少し身近な「同僚とのごはん」になりそうです。

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