「家族なんだから、一緒に出かけたい」。その気持ちは、日本でも韓国でもきっと近い。でも、カフェの入口に着いた瞬間、家族への愛だけでは開かないドアもあります。
韓国では2026年3月1日から、衛生・安全の基準を満たす飲食店で犬や猫と一緒に過ごせる制度が始まりました。ただし、どのお店でもOKになったわけではありません。私はこの変化がうれしい一方で、「入れる」の先にある居心地まで気になります。犬も、その隣でごはんを食べる人も、ちゃんと落ち着けるのかな、と。

韓国の飲食店、「同伴OK」には続きがある
今回の制度は、一般の飲食店やカフェ、ベーカリーなどが、必要な基準を守り、店主の判断で犬・猫の同伴を受け入れる仕組み。以前の実証事業から、通常の制度へ進んだ変化です。対象は犬と猫で、「うちのかわいい家族なら何の動物でも」という制度ではありません。
調理場へ入れないようにすること、店内を自由に歩き回らせないこと、人と動物の食器を分けることなどが求められます。かわいい顔で見つめられても、人間用のお皿は貸せません。そこは私も、心を鬼にする係を引き受けたい。
予防接種の確認も必要です。ただ、確認方法は証明書だけに限られず、飼い主が店で記入したり、QRで提出したりする方法も案内されています。私は、予約前に「何で確認しますか?」と聞いておくのがいちばん気楽だと思います。入口で書類を探すより、席に着いてからメニューに悩みたいので。
ケージや専用席、抱っこ、ペットカートなど、店内での過ごし方にも複数の方法があります。お店の運用に合わせ、店内かテラスか、犬の大きさ・頭数、必要な持ち物まで確認を。制度の詳細は、食品医薬品安全処の案内が参考になります。

日本のカフェも、「お店に入れる」と「同じ席で食べられる」は別
日本も、店内で一緒に過ごせる店、テラスだけの店、同伴できない店があります。国名だけで「こちらのほうが自由」と決めるより、どの席で何ができるかを見るほうが、実際のお出かけには役立ちます。
たとえば名古屋のハチカフェ鶴舞店の案内では、庭と隣の建物の一部が犬連れで使える一方、カフェ本体の店内は同伴不可。リードやマナーベルトなどのルールもあります。同じ敷地でも、使える場所が違うんですね。
私は、こうやって範囲をはっきり書いてくれるお店が好きです。「ペットにやさしいです!」だけより、雨の日も座れるのか、椅子に敷くマットが要るのかが分かるほうが、ずっとうれしい。歓迎の気持ちが、具体的な案内になっている感じがするんです。
韓国語の表示なら、동반 가능(トンバン カヌン)=同伴可、출입 금지(チュリプ クムジ)=立入禁止、목줄(モクチュル)=リード。「可」を見つけても、条件の小さな文字まで読むのがおすすめです。なお、ここで比べているのは一般のペット。盲導犬などの補助犬は、別の法的な扱いがあります。
公園の芝生とドッグランは、使い分けたい
広い芝生を前にすると、走らせてあげたくなりますよね。でも、犬連れで散歩できることと、リードを外せることは別。韓国では犬との外出時、リードなどを2メートル以内に保つルールがあります。公園の個別の入場制限も確認が必要です。
日本でも公園ごとの案内を確認し、自由に走れるのは許可されたドッグランなどで。東京都立公園のドッグランには利用登録の仕組みがあり、狂犬病予防注射済票の確認などが案内されています。韓国の公共の犬用運動場にも、動物登録済みであることなどの利用条件があります。

私は、思いきり走れる専用の場所があるのは大賛成。犬が苦手な人まで、突然の追いかけっこに参加しなくて済むからです。犬同士も、みんなが社交的とは限りません。遊びたそうか、離れたがっていないか。人の「かわいい!」より、犬の様子を先に見たいです。
散歩道では排せつ物を持ち帰り、ほかの犬や人に近づく前にひと声。犬好きの側も、いきなりなでたり、おやつをあげたりしない。この距離感なら、犬に触れない人も同じ景色を楽しめます。
アパートのエレベーターから、共生は始まっている
韓国の「아파트」は、日本語のアパートから想像する低層の賃貸住宅より、大きなマンションを指すことが多い言葉。エレベーターや廊下では、散歩のたびに近所の人と距離が近くなります。
韓国では共同住宅の建物内の共用部分で、犬を抱く、首輪やハーネスの適切な部分を持つなど、動きを制御する安全措置が求められます。リードを着けているだけで十分、とは考えず、周囲に近づけないようにする必要があります。

日本で住まいを探すときも、「ペット可」で確認を終えず、飼える種類・大きさ・頭数、共用部での移動方法まで見たいところ。韓国でも契約や建物のルールは確認が必要です。家の中で飼えることと、建物のどこでも自由に過ごせることは別なんです。
私は、エレベーターで相手が少し身を引いたら、先に乗ってもらうくらいの余裕が好きです。「うちの子、かみません」は、相手の怖さを消す魔法ではないので。家では足音や鳴き声、においにも気を配りたい。おしゃれな同伴カフェの数より、毎日のこの数分のほうが、近所の印象をつくる気がします。
病院と留守番。写真に写りにくいところも気になる
暮らしやすさを比べるなら、動物病院や預け先も外せません。韓国では動物病院の主要な診療項目に料金を掲示する制度があり、地域別の診療費を調べる公開サイトもあります。ただし、公開された一項目の料金だけで、治療費の総額が分かるわけではありません。
日本でも診療料金は病院によって異なると、日本獣医師会が案内しています。私は「韓国のほうが安い? 日本のほうが安心?」と国単位で決めるより、近所の病院で何を相談できるか、夜間はどこへ連絡するかを先に知っておきたいです。
ホテルやシッターなどに預けるなら、どちらの国でも、接種条件、投薬への対応、緊急時の連絡、ほかの動物と一緒になるかを確認したい。カフェならメニューを見てから決められるけれど、預け先は「雰囲気がかわいい」で即決したくありません。犬が落ち着いて休めるかまで含めて、私の好みです。
一緒に行ける場所より、一緒に落ち着ける時間を
私は、ペットと行ける場所が増えるのはうれしいです。散歩の途中でひと息ついたり、同じ場所で休日を過ごしたり。その小さな選択肢には、ちゃんと価値があると思います。
でも、ペット同伴を受け入れないお店まで、冷たいとは思いません。動物が苦手な人、アレルギーのある人が安心して選べる場所も欲しい。犬にとっても、にぎやかな店内より静かな家が快適な日があります。
私が住みたいのは、「どこでも連れて行ける街」より、連れて行く日も、預ける日も、犬と距離を置きたい人も、無理をしなくていい街。入口の「同伴OK」を増やすのと同じくらい、そのドアの向こうでみんながほっとできる工夫を増やしてほしいです。